捜索

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桜、という名に蒼空はぽかん、と口を開ける。 無音。 無言。 沈黙。 そして、焦燥。 「……生きて……?」 ちり、と蒼空の瞳が紅く血走る。 それに瑞穗は瞳孔を少し細くしながら、あぁ、とうなずいた。 「紅葉からの情報だ。」 「で、も……」 ――僕が殺したじゃないですか―― そう呟いた蒼空に瑞穗はベッドの端に座ると優しく笑った。 それに瑞穗は酷いほど優しい顔で諭す。 「殺したんじゃない、あれは事故、そうだろ?」 「……」 「お前は、MH3に感染してたんだ。仕方なかった」 仕方ない。 その言葉がからまわる。 蒼空が視線を彷徨わす。 まるで、迷子の子どものように。 まるで、全てを亡くしたあの日のように。 「で、も桜さんって先生の」 「大切な人。そして、この世で一番復讐したい相手。」 瑞穗が笑う。 蒼空は引きつった笑みで彼を見る。 「さて、どうやって見つけようか。」 かくれんぼは、昔から得意だ。 見つけ出すのも。 隠れたままでいることも。
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