土を食べる女

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 占いといえば、そうなのかもしれないけれど、彼女は、未来のことをすべて言い当てる力をもっていたのだ。結婚相手から、死別のこと、自然災害のことや、社会情勢のこと、国境のことや、法改正のこと、地面に躓いてお金を落としてしまうことまで、すべて、言い当てる力があったのだ。 それも、百発百中。  だとしたら、ふつう、”一部の間”だけではなくて、もっと世界的に有名なはずなのだけれども、そうでない理由は、彼女自身にあった。  実際に僕が会ったのだから分かる。  彼女は自ら引きこもっていたのだ。誰もいない山奥で、独り、ひっそりと暮らしていた。  幼い頃は、普通に町に暮らしていて、それなりに交流もあった。  学校にも行っていたし、友達もいた。お小遣いももらっていたそうだし、ごく普通のおもちゃで遊んでいたりもしていた。だけど結局、彼女は社会から遠ざかることを選んだのだった。  どうして僕が、彼女と出会うことができたのかということは、少し省く。  ネットで調べたとか、人づてに聞いたとか、そういうものとは少し違うからだ。  彼女が言うには、「会うべくして会った」のだそうだ。
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