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立ち上がるミコトは真っ直ぐ実を見る
半透明の身体の実
「りんご食べたから傷が治ったんだよ」
「わぁー、来るなぁー!」
「ひぇぇー!」
「嫌だぁ!!」
屋上を必死で逃げる男たち5人
その後ろを10メートルの黄色い蛇が追いかける
「食うぞぉぉ~~!」
「おっと、俺にも食わせろ!」
後方には黄色い蛇、前方には黒蛇
左から10メートルの白い蛇が!!
囲まれる男たちは半透明、足元には男たちの身体、悶え苦しみ倒れている
「もう、大丈夫よ。りんごジュース飲んで、傷治るから」
死んだキャバ嬢の霊体にりんごジュースを
渡すのは赤いポニーテールのリンゴ
「どうなってるんだ?」
周りを見回す実の霊体
「彼女はリンゴ、りんごの木の妖精だよ。
そして彼らは蛇神(ジャシン)
蛇の神様だよ。私の仲間だ」
ミコトが説明する
黄色い蛇が大きく口を開け男5人を飲み込む
白い蛇が赤い大きな門を出現させる
「地獄の門だよ!」
「えっ!?」
驚く実
「違うから、ミコト嘘教えるなよ!」
黒蛇が言うとゆっくり人の姿へ変わる
「地獄はないわよ、あるのは冥界。天国もないわ」
「天国ないの?」
リンゴの隣に立つキャバ嬢が聞く
「悪も汚れも皆、冥界で転生の時を待つんだよ」
白蛇は人の姿へ変わると手を伸ばして
「君も転生しないと、こっちへ」
キャバ嬢の手を取る
開く赤い大きな門
黄色い蛇の上に座るキャバ嬢
「さあ、行こう」
そう言って黄色い蛇は門の中へ消えてゆく
屋上にはキャバ嬢の死体の隣にリンゴ、
男5人の死体の近くにシロとクロ、
実の死体、霊体の実の目の前にミコト
「君は何者なんだ?」
「私は邪神……悪魔よ。名前はミコト」
静寂の中、たたずむ実たちを満月が照らす
ビルの下は歌舞伎町、ネオンと雑踏が響く
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