鬼ヶ島の猫

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 ***  ああ、神様。  もしくは仏様なのでございましょうか。――どちらでも構いません。私が今この真っ白な場所で、貴方様の前に座っているのはそういうことなのでございましょう。私は既に死んだ。桃太郎の最期のひと太刀を浴びたか、あるいは犬猿雉の噛み殺されたのかは定かでありませんが。  そのようなことはどうでもいい。  ただ、私が貴方に問いたいのは一つだけです。  正義の味方の仲間になりさえすれば、ハッピーエンドだというのなら。  仲間外れにされてしまった者は、絶対に仲間になどなれぬ者はどのようにして幸福になればよかったのか。  最初から弾き出されてしまった者は、一体どうすれば?  確かに彼等は犯罪を犯していた、強盗や強奪をしていた。でもそうしなければ、生き抜くことができなかったのだ。  彼らに、本物の鬼らしい罪を犯すくらいなら、大人しく死んでいた方が幸せだったとでも貴方は仰るつもりか。  それならばそれでもいい。私は、この世のには神も仏もいない、いるのは詐欺師だけだと一生恨み呪い続けるまでのことです。  英雄を殺した私は、人殺しの罪で地獄に行くことになるのでしょうか。結構、それでも構いません。ですが。  どうか、私を救ってくれた優しい彼等には慈悲を。  そして、私などよりも遥かに多くの“人殺し”をしたであろう者達には、正しき罰を。  奴らと共に地獄に行けるというのなら。この身、どれほど業火に焼かれようと、一抹の後悔さえないのですから。
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