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 この世に、永遠に続くものなど存在しません。どんな立派なものでも、いつかは必ず壊れ、そして滅びてしまいます。  少女が無残な姿にされ、この世を去ったあの日から、何十年という月日が経ちました。かつてあれだけ栄えていたこのお屋敷も、今ではもう誰も住んではおらず、至る所に埃が降り積もっております。  ええ。先ほど申し上げた通り、何しろ長い時間(とき)が流れたのです。  もうお掃除をする使用人もおりませんし――そもそもこのお屋敷自体、昔そんな事があった(、、、、、、、、)というのが噂として広がってしまい、気味悪がって、どなたも近づきませんからね。  ……わたしですか?  ああ。実はこのお屋敷のどこかで、大切なものを落としてしまったのです。でも、こうも埃だらけだと、なかなか見つからなくて。  ただでさえ、暗くて全然見えないのに。  ……よろしければ、あなたも一緒に探していただけませんか?  わたし、もうあれ以来、ずっと探し続けているんですよ。  ええ。目を。
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