アワユキソウの降る頃

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 一年後、私の姿を見て、セナが突然笑い出した。 「どうしたんだい? 私の顔に何かついているのかい?」 「あはは、おかしー。あはは、ほらシロもいっしょに笑っているよ。」  鏡を見た私はぼう然とした。このままだと研究所でしばらくホラ博士の実験体にされてしまうだろう。すっかり薬によって消えたと思っていた植物の種は、一粒だけ生き残っていたらしい。 「あはは、ショーン。あなたのハナきれいだね。」 「それってどっちの意味? ノーズ? フラワー?」 「両方。おめでとう。あなたが人類で初めて身体に淡雪草(アワユキソウ)を生やした人間だからね。ほら、記念に撮影させて。ちょっと待って、どこに行くの?」
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