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⑧
大学受験の年、両親が帰ってきた。
世界を飛び回る仕事の量を整理し、しばらくは国内での仕事に従事することにしたのだという。
理由は母の妊娠だった。
日毎に腹の膨れてくる他人のような母の笑顔。
それに寄り添う仮面のような父の笑顔。
母は頻繁に親しげにヒカルに話しかけてきたのだが、どうしても彼はそれに馴染むことができなかった。
また父には、ただ単に何とか生きているだけの硬くなったオーロラを世話し続けるヒカルのことが理解できなかったようで、何度も安楽死を勧めてきた。
それに応じることなど微塵も考えられなかったヒカルは、親との接触を避けるべく自室に籠るようになり、ただ、勉学に励んでいったのだった。
その間、徐々に、徐々に、石化が進行していくオーロラ。
だが、エメラルド色の瞳だけは輝きを弱めたりはしなかった。
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