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⑨
「弟だったの? 妹だったの?」シンヤが尋ねる。
ヒカルの母親の妊娠の話が気になったようだ。
「……妹だったよ」ヒカルは石像を見上げたままの姿勢で答える。「じゃがな……結局……生まれてはこなかったんじゃ」
「え? どうして?」シンヤは首を傾げた。
「……」
再びの沈黙――
木の葉がさわさわ――
しばらくして収まる。
いくつもの星たち――
ふるふると輝き、ちろちろと瞬く。
木の葉がかさかさ――
それから静まる。
しんしんと――
夜が、一層降りてくる……
……降りてくる。
シンヤがくしゃみを一つ。
辺りにキン、と響いて、鼻がつん、とした。
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