幸せデート旅

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昨日は、妙なプレッシャーがあったなあ。 とりあえず、裸で、枕元に置いた女性誌を開いて、俺達は連休の使い道を探求していたんだった。 まあ、連休っていうと、大抵どこかイベントとかやっていたんだよなあ。 あ、ここなんかどうだろう? 示した地名に、満足そうにキスしてくれた。 正直、西の大陸のジャングルかアガルタってのはあったが、全く反応なかったし、話題にすら上がらなかったもんな。 いや、流石に俺だって、デートでヘルメット被って穴堀りってのはなかったけどさ。 こういう時、女って奴は、既に答えを決めていて、俺が正解出すまで全てを否定してくるんだな。貴女の好きに決めて♡とか言ってたくせに。 正解のご褒美みたいな熱い夜を越えて、翌日、俺達は、アカデミーから300キロル離れたところにある、地方都市セント・トーマスの、フェスティバルを見物するツアーに参加すべく、アカデミーの街の外の大門前に、馬を借りていたのだが、そこには、何故かどピンク面に落ちた生徒達でごった返していた。 恐ろしく素早いマーケティング戦略があった。 つい2週間前に、別れを済ませたはずのエリゴール・ゼニスバーグを越えて、既に俺は、神聖森ハラクラーレで、エルフの姫ダルシネーアを森でいただいていたらしかった。 勘弁してくれよ何だよ「勇者ジョナサン・エルネストと深緑の姫君」て。 「ふおおおう。ルバリエ先生綺麗です」 我等が最強のひまわり、イシノモリ・ユノは、フランチェスカの姫君風なワンピースドレスに、ふおおおう。と息を吐いていた。 「ありがとう。ユノ」 「ハラクラーレ前に、セント・トーマスでお熱いひとときをすごしますのね」 そうだよ文句あんのか先週お前の親父が俺に会いに来たアリエール・リトバール。 超弩級のプラチナ、王宮運輸事務次官エンポリオ・リトバールが、突然ブロンズの俺に会いに来て、うちの娘嫁にどうよ?って言うから要らん。っつったら真っ赤になってギャース!っつってたよな? 「放っとけ。それより、マリルカはどうした?」 「はえ?応援団にはいませんわね?」 きゃあああああ!先生カッコいいいいいいいいい! とか言ってるどピンク面に落ちてる生徒と、ああ上級生達がフランチェスカのドレス姿にメロメロになってて。 そんな山の中にいる訳あるか。あいつが。 ところで今気付いたよ。上級生には別に山があって、山に群がられてるよ。イゾルテ・フレイアか? 「あ、マリルカは実家が大変そうなんでお休みしてます。校長先生に許可をもらったそうで、金曜日の夕方に飛行挺に乗って飛んでっちゃいました」 ん?マリルカが休学?実家って。 王都育ちだって言ってたな? 確かアカデミーのパーソナルデータじゃ王都ホーバレーって書いてあったな? ホーバレーって、王都でも田舎も田舎だぞ? 確か、退位退官した有力貴族が晴耕雨読の余生をすごす所だよな? まあいいや。連休明けにあいつんち行こう。家庭訪問だ。 「先生、気をつけて行ってきてください」 「ああ。ありがとう。連休終わったらランキング戦について言いたいことがある」 魔法戦闘を腕力で斬獲していくちっこい武闘家の末裔に告げて、俺は、アカデミーの貸し馬に跨がった。 おお、懐かしいなあお前。バーミリオン・サンズの追悼式以来だな。だいぶ年取ったな? 穏やかな老馬の背に揺られて、フランチェスカの温もりを感じながら、セント・トーマスを目指し、馬は遠ざかっていった。 2人乗りで消えていった教員達のラブラブな後ろ姿を見送って、アリエールは呟いた。 「降って湧いたヒーローフィーバーですのに、泰然としていますのね」 遠くで、散れお前等は!アカデミーの外までついてくる気か?!ってミーハーな生徒を追い散らす声が響いてきた。 「行ったのね。あの子達」 気が付いたらいた存在に、アリエールは、 「はえ?校長先生、お見送りですの?」 魔性の美貌がおっぱいを揺らしていた。 「そうね。貴女達!ジョナサンがいない隙に特別講座を行うわよ!教室に集合なさいな!」 え?急に?って言う空気があった。 「今日は安息日ですけれど?しますのね?」 「まあね。が来るようになった生徒だけに行う授業よ?ああ。ユノ、貴女は来年ね?まだ来てないでしょう?」 世にも恐ろしい、校長の性教育講座が始まろうとしていた。
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