枢機卿調伏

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枢機卿調伏

フンボルト・グロウシュラーは、ジョナサン・エルネスト討伐を胸に秘め、手当たり次第に兵隊ーー彼を信じ、教義に殉ずる者達を集めていた。 奴は手強い。我等が総帥、ゼニスバーグ様を殺すほどの強者でも、地を埋め尽くすほどの人海を前にしては太刀打ち出来まい! 必ず殺してやるぞ!ジョナサン・エルネスト!ゴミのような劣等が! ああ!ルルド!奴を殺せば次はお前だ! 必ず!異端者認定してここに連れ込んで、犯してやるからな! お前だって変態なんだろうがルルド! お前が履いてた下着に、約1億かけたのが私だ! 勢いよく頬張った料理を噛み締めていた。 取っておいた最後の、最高のエロ下着をフォンドボーで煮込んだ最高の料理だ。 モギュモギュという音と食感、トリミングされた陰毛がくっついてるとか、どれだけスケベな女なのだ?! 殺しの興奮と、知っている女へのレイプ願望で、今にも射精に達しようとしていた変態親父は、教会の外で、暴徒と化した信徒達をなだめる声を聞いた。 今更何だ?馬鹿女め。 フンボルトは、バルコニーの外に出ていった。 やめなさい!土の巫女、ラピス・ミラビリスは、詰めかけた暴徒達に言った。 「今、英雄ジョナサン・エルネストは、暴力により拐われた、大切な人達を救い守る為に、単身この聖光塵教会に赴き、今も戦っています!愛する者を守る為に、かの悪逆なフタエ帝国と、救世主ジェベドは戦いました!しかし!ランクという陰湿な人種差別と、尚悪逆な商人達によって!今や教会そのものが、かのアドモス帝の如き悪に!」 瞬間、背後から爆裂魔法を食らい、大きく吹き飛んで地面に打ち倒されていった。 「ふん。堕落した背教者め」 教団の頂点、法主の弟子である巫女と、法主に祝福された枢機卿。序列的にはほぼ同格の2人は、今や加害者と被害者になっていた。 「背教者を罰したお叱りは、法主に受けよう。法主はきっとお許しになる。お前の堕落の証を見せよう。この淫売が」 地に伏した、ラピスの髪を掴み、法衣を引き千切った。 「この腹は何だ?!この悪夢のような堕落者が!今すぐ貴様の腹を裂き!悪魔を滅してくれよう!鍋を炊け!トーチを掲げよ!法主の愛に唾棄した堕落者を滅せよ!」 人海の中に突き飛ばし、枢機卿の言葉に従った信徒達は、ラピスを集団で打ち倒さんとし、ナイフを振るおうとした手を、矢が貫通していた。 悲痛な悲鳴を上げた信徒は慌てて距離を取り、ラピスの前に、俊敏な人影が舞い降りた。 「こんな若い子に何してんだお前等は」 突如現れたのは、ジョナサン・エルネストだった。 数千人に達する暴徒から、ジョナサンは女を庇おうとしていた。
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