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───『八類王』によるエマリエーカ王国襲撃、それより少し前の某所でそれは起きていた。
仕事を終えて帰路についた中年の屈強な男はその道中に気づき、顔を険しくさせて歩みを逸らす。
「……何故こんなところに…?」
「どうしたよボス、何か見つけたのか?」
仕事に同行していた金髪を後ろで束ねた青年が後ろから声をかける。ボスと呼ばれた肩まで届く白髪の男は答えずに屈んでそれを凝視し、青年は男の後ろから覗き込む。
「あん?それ、剣だよな?」
「ああ…」
見据える先にあるのは、道から外れた雑草の生い茂っている場所に深く、鍔まで刺さっている一本の剣だった。
「…なぁんか嫌な感じがプンプンする剣だな。つか、なんでこんな場所に刺さってんだ?誰かが捨てたのか?」
「だとしたらこの道に足跡が残っているはずだ。ここは滅多に人が通らない道で足跡が無いのは不自然。足跡が消えるほど前からここにあったとしても剣に砂埃などの汚れが一切付着していないのはおかしい」
「だな。となると、この剣は普通じゃねえな。気配が気色悪すぎる」
「………もしや、『絶廻』の剣か…?」
男の言葉に青年がギョッと目を剥いた。
「う、嘘だろ…!?神出鬼没の不思議な剣ってのは知ってるが、こんな無造作に現れるモンなのか!?」
「俺も初めて見る。実体を見たことが無いからこれが本当に『絶廻』かはわからないが、この異様な雰囲気からして普通じゃないのは確かだ」
「……どうするよボス」
「調べる価値は十二分にある。これが本当に『絶廻』の剣ならばな」
「ってことは、お持ち帰りか」
「ああ、そうしよう」
男が剣の柄を握った。途端に背筋が凍り付き即座に手を離してしまう。
「…大丈夫か?」
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