第0話 頂に手をかけた騎士たち

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〈豪傑の者よ〉 剣は言った。 男へ告げた。 〈その身をもって、汝の真価を我に示せ〉 そして、そして、そして───。 剣が雑草の上に落ちた。 「……………………ボス……?」 なんだこれは。 本当に現実で起きたことなのか。 男は剣を引き抜いた。埋もれていた刃に息が詰まった直後、瞬きよりも早い一瞬で───男の体はバラバラになった。 崩れて次々に地面に落ちていく男の肉体。まるで何かに切り裂かれたような綺麗な断面をしていて、しかし衣類には切られた痕跡は無い。男の体だけが、突如として細切れにされたのだ。 「…………なん、だよ…これ…」 信じられず、受け入れられず、けれど全ては真実で。 ウェイズは尻もちをつき、見るも無惨な男の惨状をただただ見つめる。 何もわからない。 わからないだらけだ。 でも、一つだけわかったことがあった。 「───…最悪の『絶廻』……アストバレスタッ…!!」 剣は音もなく忽然と消失。 束を握ったままの形で固まる、憧れて、追い求めた男の右手を置き去りにして───。  ★
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