第0話 頂に手をかけた騎士たち

6/6
前へ
/187ページ
次へ
左目に赤い布の眼帯を着けた白髪の巨漢、リガルド・ローズエッタの暴言混じりの物言いに、赤毛を両側で括った女キンシャイ・ミツラッカは拳と巨乳を揺らしながら憤慨した。 「宛も無く探すくらいなら僅かな可能性に賭けてみるのもいいかもしれませんよ。ムーバーの直感に」 「………夕刻に雨が降る」 ナタリーの言葉で視線が集まり、一身に浴びる茶髪の男ムーバー・カインザレアは床に仰向けで寝そべりながら呟いた。 「手段はなんでもいいんだ。どんな手を使っても、例え何年かかっても見つけ出さねえと死んだボスが浮かばれねえんだからな」 ウェイズは握り締めた拳を震わせ、託された責任を胸に同胞たちへ指示を飛ばす。 「『頂点騎士団』総力を挙げて必ず見つけ出すんだ。───『絶廻』の剣、アストバレスタとレヴァンゼイスの両方を破壊するんだ」 騎士の中でも選らび抜かれた者たち───『錬巧の騎士』のみで結成された世界の秩序と平和のために動く独立組織『頂点騎士団』が、世界のどこかにあるたった二つの剣を見つけて世界から消し去るために行動を開始する。 『赤熱の女神』の影に隠されていた本物の英雄たちの進撃。 仇を討つために。 そして何より、世界に生きる人々を守るために。 ───故に激突は避けられない。 『絶廻』を滅ぼす者と求める者が出会ったならば戦わなければならない。 奇しくも『世界を救う』という、同じ志を持つ者であったとしても、彼らは決して相手を認めはしないのだから───。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加