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「これは、、嘘死うそしだな。この掻き傷をよく見ろ。嘘死独特のものだ」
「これがあの噂に聞いていた、嘘死ですか。僕、通報を受けて、直接現場で見たのは初めてです。思っていたよりかなり生々しいんですね。全身に毒が回って、苦しんでもがきながら死んでいくんでしたっけ。そういう面では可哀想な死に方ですよね」
「まあでもしょうがないよな。五年間も嘘をつき続けてきた人間なんだから、その罰が当たったんだろう。嘘をつくことは人をそれだけ騙すってことだからな」
「......先輩は、嘘ついていないですよね?」
「ああ。お前こそついていないよな」
「当たり前じゃないですか」
・
俺が警察官になって四年目の冬、嘘死と呼ばれる死体が増えていた。
正しくは、嘘をつき続けることで溜まっていったストレスによって体内で作られた毒が原因の毒死。
だが、亡くなった身元を調べていくと全員、嘘をつき始めてから五年目の『その日』に死んでいることが分かった。
嘘死の特徴は全身を強くかきむしる傷跡、そして呼吸困難になり息ができなくなったひどい顔面だ。
あくまでも死因は、嘘というストレスから作られる毒であって人の目では見ることのできない毒物だ。
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