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数時間後、ニュースで俺は指名手配犯として報道された。
"老人殺しの受け子"
そうキャッチフレーズをつけられている中、俺は報道で、刺した老人がそのまま出血多量で死んだことを知った。
その瞬間、俺は殺人犯となった。
後に分かったことだが、倒れこんだ老人の手には通報するための携帯電話などではなく、イチゴミルクの飴が握られていたそうだ。
あー、インタビューを受けていた息子は怒っていた気がする。すごく泣いていたっけ。
そのニュースを聞くたびにあの頃は悪いことをしたと罪悪感でいっぱいになっていたな。
・
で、なぜ俺は今警察官をやっているのか。
それは、俺はあの事件の後、顔も戸籍も変えて別人となった。組織が経営している美容整形の施設で俺は手術痕がなく自然に見えるような二重整形をはじめたたくさんの手術をした。新しく戸籍も作って別人として人生を乗り換えた。
指名手配犯になった俺はもういないのだ。
あの事件のことは覚えていない。それより、もうすぐ警察官になって五年が経つ。
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