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野鳥に餌をあげてはいけない決まりは知っている。もちろん、野良猫に餌をあげてはいけないということも。その理由はいくつもある。一つに、ひとりで生きていけなくなるから。二つに、本来あるべき淘汰がされず、巡り巡って人間に害を及ぼすから。他にも色々な説を人から聞いた。けれども私は、あまり納得できなかった。
人間は、別に地球の覇者ではない。地球という惑星に住まわせてもらっている哺乳類の一種に過ぎない。確かに、人間の気まぐれで餌をあげるのはいけないことだと思う。淘汰されるべき個体を助け、その後に再度淘汰させるのは非常に罪深いからだ。でも、それならば人間がしていることは何かと、面倒くさい子どものように訊きたくなる。
生き物を食べ、私たちは生きている。それら動物が、私たちに殺されることを望んでいたとはまったく思えない。
道路では、たまに動物の死体が転がっている。人間が言う「突然飛び出してきたんだ」という言葉は、すなわち動物の責任にしている言い訳だ。
可愛いと言って飼い始め、思うようにならないと捨てる人もいる。
かけがえのない家族であったのに、人間と同じ墓に入れてはいけないという人もいる。
家畜の殺処分だって毎年のようにある。では、鳥インフルエンザはすべて鳥だけの責任なの。豚熱は何もかも豚がいけなくて、感染していない豚を殺すことはすべての豚のためになるの。決まり事や世間の思惑で殺された動物のために、私たち人間は、一分でも黙祷を捧げたの。
売れなかったペットはどこへ行くの。動物を扱う人が全員優しい人とは限らない。それならどうして悪質なブリーダーが存在するの。動物の住む場所を奪い続けた人間が、これ以上動物を虐げて君臨することを、地球は本当に望んでいるの。
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