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悲しいだけの人生だったと思われるのは、辛すぎる。
きっとそれは、天国にいるロマノフ一家も同じことだろう。
と、まるで私の思いを読み取ったかの様に、コーチカとズブロフカが初めて私に近寄ると……その、少しだけざらざらした舌で、優しく私の頬を舐めてきた。
「お嬢ちゃん。あんたはアタシの……いや、アタシ達のことを思って、泣いてくれるのニャねぇ」
コーチカの言葉で、私は、初めて涙を流していた自分に気付く。
けれど、今の私はそれを恥ずかしいことだと思わない。
私は泣き笑いの不思議な顔で優しくコーチカとズブロフカをそっと撫でると、彼らに話しかけた。
「ねぇ、コーチカ?ズブロフカ?君たちが知ってる……ううん、君たちしか知らない、ロマノフ一家の楽しい思い出を、私に聞かせてくれる?」
私の言葉に、2匹は輝く様な笑顔をみせ、大きく頷いた。
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