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最悪
「えー何隠したの先生ー」
何か面白そうな予感がした。
そのスケッチブックの中、超気になる。
速歩きで先生に近づく。けれど先生は、バッと立ち上がり靴をコンコンと言わせながら逃げる。
「ちょ、来ないでよ!来るな!真田くんは何しに来たのよ!」
先生は教卓の方へ逃げ、教卓からヒョコッと顔を出し俺に向かって叫ぶ。
あ、そうだ、忘れ物。
俺は自分の座っていた机の中を見る。
「あーあったあった。筆箱を取りに来たんだよ俺は」
筆箱を取り出し、時計をチラッと見る。
4時間目は何時からだったっけ…えーと11時35分で、今は、11時25分だから…。
その時、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
もう一度言おう、確かに鳴った。
「ええええ!?」
思わず大声が出た。いやいやいや、時間が違いすぎる。
いや…待てよ。
俺は教卓から顔を出す先生の方へ視線を向けた。
「あー…美術室の時計、10分ずれてるの…」
顔をピクピクとさせながら苦笑いする先生。
俺はガクッと、肩を落とした。
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