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顔
「どーして4時間目いなかったのさ」
昼食中、ベンチに座る俺の隣に座り、サンドイッチを豪快にほうばりながら友達の康隆:通称やっすんが言った。
俺はペットボトルを開け、カラッカラの喉に潤いを与えた。
「しょうがねーじゃん。美術部の時計壊れてたんだから」
なんで顔こんなに熱いんだろ…。
飲んでも飲んでも顔を熱さは変わらない。
そんな事を考えていると、やっすんは「そういやぁ」とぼそっと言った。
「美術の槙先生、教師辞めるとか辞めないとか」
俺の耳に口を近づけ、やっすんは言った。
「なーんか槙先生、保護者からん評判悪いらしいよ。休日にタバコを吸ってるところを見たとか、えこひいきをしてるとか。まぁ正直、根も葉もない噂が本当の事として扱われてるっぽいよ」
そう言って、はぁーとため息をつけながらベンチにもたれるやっすん。
顔の熱さが消えない。何度も何度も飲み物を飲む。
「さっきから飲んでばっかじゃん。そんなんじゃ飲み物で腹いっぱいなるぞ」
やっすんはそう言うが、俺の右耳から左耳にするりとすり抜けた。
どうしちゃったんだろ、俺。
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