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私と卒業式
学校生活において、いちばん特別で特殊な日は卒業式なんじゃないかなって思っているんだ。もちろん、入学式や文化祭、修学旅行とか非日常を味わえるイベントは沢山あるけれど、終わらせるという機能を持っているのは卒業式しかない。永遠に続きそうな日常の流れを止めて、あらたな日常へと移動させてくれるのは、いつだって何かから卒業する日だもの。いくらSNSが発達しても、いくら過去にさかのぼる事が簡単になったとしても、卒業式の力が減る事はないはずだって、友達の隣で考えていたんだ。
そして今、私は式に参加している。袴を着て、ヘアスタイルをセットして、お化粧をほんの少しだけして、パイプ椅子に座って来賓の話を聞いている。正直に言って、この時間はそこまで楽しくは無い。見た事があるかどうかさえ怪しい人のお話っていうのは、そこまで覚えようとしないからだ。もちろん、卒業を祝われている事は理解しているけど、そこから先は意識が違うところへと移動してしまう。
結局のところ、卒業式のピークは卒業証書を受け取るところだと思う。その後の台詞とか、歌とか、大人のスピーチは後からついてくるものに過ぎない。そして、式が一通り終わったらみんなと写真を撮る。でも、そういう考えはある来賓の女性のスピーチで180度変わった。
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