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緊急事態
私が目を覚ますと船内は激しい警報音に包まれていた。寝ている娘を見ると、まだ丸まって吐息を立てている。その時、私の耳に緊急放送が聴こえて来た。
『緊急ワープアウトします。総員、衝撃に備えて!』
直ぐ娘をギュッと抱き締めて目を瞑った。その瞬間、激しい衝撃が襲って来た。
目を開くと室内は非常灯の光に包まれている。不意にドアが開き、黒猫の夫が駆け込んで来た。
「ルナ、大丈夫だったか?」
彼は私に身体を寄せて尻尾を絡めると、顔を舐めてくれる。
「うん大丈夫。何が起きたの」
私の質問に彼の瞳が少しだけ動揺した様に見える。
「亜空間で第二動力炉が爆発したんだ。船はワープ出力を維持できずワープアウトした。今はもう通常空間に出ている」
その言葉に衝撃を受けていた。
「ワープアウトって、ここは何処なの?」
彼は前脚に取り付けられた個人端末を操作して、その表示を見ている。
「太陽系第三惑星の近くだ。猫星からは二十光年以上離れている」
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