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そのままクローバーの葉は風にのって、今度は、正真正銘……本物の大岩の先っぽに着地した。
大岩の高さは20m以上あるだろう。
もし落ちれば痛いでは済まない。
下を見て、アルバートもアリスも足がすくみそうになった。
「ねえ、ほら。危ないわよ」
アリスがクローバーの葉に、にじりよる。
クローバーの葉も、あまりに高いところで怖くなったのか、素直にアリスの元へ向かってきた。
しかし不運だ。つくづく不運だ。
クローバーの葉は風に煽られ、大岩からヒラリと落ちた。
それを見て、アルバートはバッと駆け出した。
アリスの制止の声が聞こえた気がしたが、アルバートは止まらなかった。
大岩からためらうことなく飛び降り──空中でクローバーの葉を見事キャッチした。
……だが、よかったのはそこまでだった。アルバートの体は、地面目がけて真っ逆さまだ。
もうダメかもしれない──アルバートは静かに目を閉じた。
ところが……やってくるはずの痛みはなかった。
落下中、クローバーの葉の根がどんどん生い茂り、地面スレスレでそれがクッションになったのだ。
「ありがとう……」
アルバートの胸の上で、クローバーの葉はコクコクと頷いているようだった。
「大丈夫ー⁉︎」
大岩の上から、アリスの声が聞こえた。
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