13歳の夏

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 夕方5時過ぎに美鈴は、ぐっちの家に行きぐっちのおばあちゃんに浴衣の着付けをしてもらった。  なーちゃんの着ている美鈴が憧れていた黒地に紫色の花柄の浴衣やぐっちの白地に青い花柄の浴衣と違って自分の水色に向日葵柄の浴衣は随分子供っぽく見えて恥ずかしかった。それだけではない。かんざしを持っていたなーちゃんやぐっちと違って美鈴は何も持っておらずセミロングの髪をいつものように髪を耳の下でおさげにくくっていた。  そんな美鈴を見て気を利かせたなーちゃんが美鈴に耳打ちをしてきた。 「ちょっと来て」  まだリビングでぐっちのおばあちゃんに着付けをしてもらっているぐっちを横目に美鈴はなーちゃんに手を引かれ荷物を置いていたリビングに向かった。  なーちゃんは、自分が持ってきた鏡をテーブルに置くと持ってきたバッグからアクセサリーの入ったポーチを出した。 「美鈴、そこ座って」 「あ、うん」  美鈴がカーペットに座るとなーちゃんは素早く美鈴の髪をサイドポニーテールにくくりそこに淡い黄色のシュシュを付けた。 「せっかく浴衣来たんだからこれくらいしなきゃ」 「うん、そうだよね」  ぎごちなく笑って返す美鈴になーちゃんはニコリと笑った。 「私、美鈴の浴衣すごく好きだよ。夏らしくて可愛いし元気な美鈴にすごく似合ってると思う」 「そう?これ親戚のお下がりだし、私的にはなーちゃんやぐっちの浴衣の方が可愛いと思うけど」  そう返す美鈴になーちゃんは首を左右に振ると、美鈴の耳に耳打ちをしてきた。 「褒めてもらえるといいね」 「えっ」  ドキッとする美鈴になーちゃんはくすくす笑いながら「ぐっちも私も気づいてたよ。小学生の頃から美鈴ってすっごく分かりやすい子だもん」と笑った。  美鈴の頬が赤いのは蒸し暑い部屋の室温のせいだけではないだろう。
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