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明日死ぬとしたら、何をしますか?
この質問、私は母親から頻繁に訊かれながら育ちました。正確に言うと「明日世界が滅亡するなら何を食べたい?何をやる?」と、日常的に繰り返し、訊かれたものでした。
食べ物なら正直に答えても構いませんが、何をやるかについては、母親に話したくないので嫌な質問でした。
大体どの時期でも誰かしら好きな人がいて、その人と肉体関係を持つことだけが「死ぬ前にやりたいこと」でしたからね。なかなか叶いませんでしたけども。欲にまみれた人生を送ってきたものです。
でも今改めて考えてみると、死ぬ前にやりたいことって興味深い問いかけだなぁと。
「明日死ぬんなら美味しいものを食べるだけで仕事なんかしない、この先も人生が続くと思うから仕事をするんだ」
こういった主張も、よく聞きます。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏が30年間、鏡に向かって語り続けた有名な「もし今日が人生最後の日だとしたら、私は今日やろうとしたことを本当にやりたいだろうか」に、過度な影響を受けたくはないですよね。
長期的な視野で生きるのは重要なことだと思います。
でも、思考実験のように「明日もし死ぬとしたら?」と考えてみるのも、面白いかもしれません。
今の私がもし明日死ぬなら、書き上げた小説「きみの野望が欲しかった__Twitterから始まる連鎖」を、できるだけ多くの人に読んでもらえるように、やれるだけのことを全部やってみるだろうと思いました。
この小説が私の生きた証ですから、できる限り多くの人の心にアプローチしたいと思います。
食事はおそらく、しないですね。食べている時間がもったいないです。残り時間、空腹で構わないので、ひたすら小説を読んでいただくために生きたいものです。
……と、こんなふうに考える時と。
そうではなくて、家族と一緒にご飯を食べて、写真やビデオを見直してゆっくりして、今までの人生を振り返りながら喋って過ごすのがやっぱりいいんじゃないかな、と思う時もあります。
明日死ぬ日が想定できるなんてことはなかなかありませんが、こうやって時々考えてみるのも悪くありません。
自分の価値観が揺れ動いているのを自覚できて、楽しい自己分析になると思いました。
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