目標の自由

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 実家で暮らしていたころ、目標の自由がなかなか得られませんでした。母親がイメージする目標からそれないように、他に興味を示すと邪魔されたものでした。  私がクラシックバレエに強く興味を示すと集団レッスンの途中で抜けて帰るよう指示され、実際に母がレッスン最中に迎えに来て流れを邪魔する。音楽科ではなく普通科の高校に進学したいと言うと、母は自分が精神的におかしくなると予告し、演技しつつ家庭崩壊を示唆する、などです。母も捨て身で、必死でした。私がピアノ以外の道に興味を示さずピアノだけに邁進できるよう、私の興味関心をコントロールすることに母は全力だったものです。  ひとは思春期に得られなかったものに執着すると聞きますが、私にとってはそれが目標の自由なのだと思います。  複数人で目標を統一することに、強力なメリットがあるのも事実です。複数で同じ目標に向かうことで、大きな物事を達成できる可能性が生まれます。しかしその場合は個人が、目標の自由=優先順位の自由をある程度は手放さなくてはなりません。  一般的には、目標の自由と引き換えに経済的自由を手に入れることができます。ビジネスモデルが出来ている会社に所属することで給与を得られます。このバランス、費用対効果を換算しながら、自分の目標と近い目標を掲げている集団に所属する・拘束時間の少ない集団を選ぶなどの工夫を凝らすのが、目標の自由を重視した人生設計に近づく道ではないかと思います。  私の場合は実家を出ることで、目標の自由を手に入れました。この自由を守るには、他の自由とのバランスを保つ必要があります。他の自由が目減りして一定ラインを割ると、目標の自由を手放して充当する必要が出てくるからです。  これからも実家に帰らないで済むように、経済・精神・方法・目標という四つの自由のポートフォリオを意識しながら、人生を組み立てていきたいと考えています。
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