君と話せなくなるまで28日

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Day.1 私は男友達がなかなかできない。ふと目が合ったり同じクラスで話したりするとまずは男として意識してしまう。いわゆる恋愛体質と呼ばれるやつだ。 ふとした時にドキッとしてしまって、しばらく話してからじゃないと友達になれない。 これが普通なのかどうなのか。それは分からないけどこれが私だったから特にどうするわけでもなかった。 普段出会おうとするとだいたい上手くいかない。初対面の人でも好きになりやすいためガツガツ行って引かれてしまう。 だから恋愛感情のない人とは友達になる前にどこかに行かれてしまう。 私は恋人ができてもそうだ。友達。その言葉が苦手だった。 恋愛質の私にとって女友達が全く理解できない。男女が話したらきっと惹かれていくと思う。 それに普通の人ならそこから進展とかするのだろう。あー。普通ってなんなんだろうか。 そんなふうにぼーっと考えながら電車を乗りふと視線を上の方にするとある広告が見えた。 カップル成立99%、。いわゆる出会い系アプリと言うやつだ。 好みの相手を探していいねを送り合うとお話ができるようになると、。 興味なんかなかった。みんなやりもくだったり、おじさんばっかりだと思っている。 あんなアプリ。バカバカしい。 白々しい笑顔を見せる2人に軽くイラつきながらスマホに目を落とした。 18時。はやいな。帰りスーパーに行って何買おかな。今日のおかずと明日の弁当と、、。99%、、 頭によぎった数字をかき消すように首を振った。 ないない。私が出会い系なんて。 危ないし。親になんて言っていいのか分からないし。 それにそれに。でももしそこにいい出会いがあったら?運命の王子様でもいる? まさかね、、いやでも、。 スマホにはもうインストールの文字が浮かんでいた。 いなかったらやめよう。そうだそうだ。怖かったら辞めたらいい。うんうん。 インストールの文字が消え青い円がグルグルと回り出した。 あ、入れちゃった。ホーム画面の中が今までにない異様な光景になった。自分のスマホに出会い系が入ったそれだけのはずなのに。何故だろう。すごく後ろめたい気持ちにもなった。 恐る恐るアプリを指で押してみる。始めるボタンが出てきた。異様なほど爽やかな画面に変わった。ログイン。どれにしよう。 ポチポチと登録を進めていく。 メイン写真をはる、、。これが一番怖い、どの写真にしたらいいんだろう。 写真フォルダをゆっくりスクロールして行く。 友達との写真、プリクラ、最近食べた美味しかったパンケーキ。ゆっくりゆっくりみていく。 あ、これなら。1枚の写真、。友達にとってもらった写りのいい写真。 これにしよう。選択ボタンを押した。 審査中。その文字が自分の写真の上に書かれている。その時改めてあー、私は出会い系に手を出したんだ。と実感した。 駅に着き買い物に向かう。スーパーに行き野菜コーナーをゆっくり見て回る。 今日は何を作ろうかなー、野菜、お肉、魚、、、 ポケットに激しい振動を感じた。 電話よりもっと激しい。 通知を見てみるとさっきの出会い系アプリだった。 いいねが届きました。の通知で埋め尽くされている、36件、36!?すごい数字に少しワクワクしながらもまたポケットに戻した。 野菜とお肉とかいレジに行く。その間も振動は収まらなかった。お会計を済ませ急いで家に帰った。 スマホを見てみると通知が80件を超えていた。 この中に王子様がいるかもしれない。胸を躍らせアプリを開いた。 いいねが届いています。 そのボタンをタップし相手が表示された。 げっ!!!!さっきまでの期待値は一気に下がった。30歳のおじ様からのいいねだった。 プロフも見ずスキップをおした。 ほかをみてみても同じような人ばっかり。いくら恋愛体質だとはいえ19歳にいいねしてくる3、40代のおじさまとは恋に落ちることが出来なかった。 スキップしていく度おじ様たちがどんどんと流されていく。アホみたいなことをしている自分に対してすごく笑いが込み上げてきた まあこんなもんか、スキップを続けると10代の人に出会った。1人ではない、何人も。 うれしかった。自分を見ていいねをしてくれたわけだ。 みんなのプロフをみていく。 友達探し、、その言葉が多数見つかった。私の嫌いなタイプだ。 すぐさまスキップをする。男女の友情。なにそれ。 プロフを見てスキップをして。 何人がいい人はいた。 顔もそこそこ良くて、結婚願望もあり自分と住んでいるところが近い。 そういう人は私は好きだ。真面目な恋愛をしてくれそうで。 複数の人にいいねを返してから晩御飯の準備をした。 冬場のお米を洗うのは本当に地獄で手が痛くなる。でもスマホの振動を聞いていると何故か心が熱くなり頑張れた。 野菜を切る音と振動だけが鳴り響く。 ジュージュー。炒める音と振動が響く。 あー。わたしの人生はこの振動の音だけでこれからも幸せになっていける。そんな気さえしていた。
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