ほれ

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ほれ

 猫ばあさんは「そんなとこいねぇで」と、お茶を出すから上がれと私たちを和室に招いた。どうしようかともじもじしていると、「これ、あっちいけミケー!いっつもそんなとこさいんだからおめーはー!」と奥から猫ばあさんの声。追いやられた三毛猫がこちらに向かって走ってきて、私たちに気づいて大慌てで90度方向転換。勢いそのままに庭の草木に入っていった。それにつられた白茶と、ぶちが私たちの足元をすり抜けて行く。数秒の間の後、緊張の解けた安堵のため息が二つ漏れた。ふふふ、と私たちは顔を見合わせ笑いあった。「ほれ!」と再度猫ばあさんに声をかけられて私たちはお邪魔することにした。
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