【Game1】達者クンは諦めが悪い

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「な、なななんで僕が失格なんだよお!」 「俺に発疹ができたからだろ」 「ふ、ふざけんなよお! そ、それのどこが『負傷』なんだよ!」 「いや、お前がふざけんなよ。俺をこんな目にあわせやがって」  取り乱したアキバ系が、俺に向かって突進してきた。 「よ、よこせ! そ、それは僕のものなんだよ!」  そう言いながら、俺の手の中にある赤い小箱を奪おうとする。 「やめろ!」 「こ、これは! あ、ああ(あかね)ちゃんのチョコは僕のものだあっ……! ぼ、僕の下駄箱に入ってたんだあっ!」 「いや、俺の下駄箱に入ってたわ! どう考えても俺だろうが!」  ここまで言っても、アキバ系はめげない。箱から手を離すことなく、グイグイと引き寄せようとする。 「い、いや! あ、ああ茜ちゃんは僕にチョコをくれるって言ってた! だ、だから僕のだ!」 「勘違いも(はなは)だしいわボケ! さっさと退場しろよ!」  このままだと箱が真っ二つになる。  そう危惧した瞬間だった。 「はーい、時間切れー! 『退場』の時間でぇす」  甘ったるい声と共に、アキバ系の体が金色に輝きだす。 「い、嫌だああっ! し、死にたくないいっ!」  悲鳴をあげる奴の背後で、真っ赤なワンピースに身を包んだ美女が微笑んでいる。ってアキバ、まだチョコを離さないのかよ! 「もーう、達者クンは諦めが悪いなあ。そんなだから、女子から嫌われちゃうんだぞぉ~?」  彼女はプウッと頬を膨らませて、怒るような仕草を見せた。 「そんなキミは、にはふさわしくありませんっ! 消えてくださぁい」 「い、嫌だあぁ!! あ、茜ちゃん……ッ」  アキバ系は金色の光に包まれると、キラキラと輝きながら空気に溶けていった。 「〜」  さっき散々に名前をいじられた分、こっちも言わせてもらったぜ。というか、二度と戻ってくるなよアキバ野郎。
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