にゃんにゃんウイルス

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「人体に影響ないのは良かったけれど、こんな猫みたいになっちゃうウイルスなんて嫌にゃん。ちゃんと治るのかしらにゃん。」  状況を把握し、泣きそうな顔でぼやく香織には悪いが、そんな彼女も非常に可愛い。できることなら動画に収めて永久保存したいが、辛うじて踏みとどまっている俺をどうか褒めて欲しい。  おや、人知れず煩悩と戦っている内に、会社に行く時間になってしまった。正直非常に行きたくないが、人体に影響がないと分かっている以上、病欠は許されないだろう。ああ嫌だ嫌だ。 「香織、本当に嫌だけど会社に行ってくるにゃん。」 「いってらっしゃいにゃん。私も今日は町内会の会議があって、本当に嫌にゃん。」 「まあ半数近くが感染しているらしいから、浮くことはないだろうけど憂鬱だにゃん。お互い頑張ろうにゃん。」  こうして俺は重い足取りで会社に向かったのであった。
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