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――――どのくらい眠っただろうか。声が聞こえるわけではないのにクラシャスが気になる。アーレは目を開け、ベッドを降り、隣の部屋にいるクラシャスの様子を見に行った。
「ん~、ん~」
部屋に入ると、クラシャスが魘されていた。
「クラシャスさん、大丈夫ですか?クラシャスさん」
クラシャスの名を呼びながら揺さぶってみるが、魘されていて起きない。急いで台所へ行く。カモミールの液を入れた冷たい水を支度し、それにタオルを浸してから絞り、クラシャスのおでこに載せた。
「大丈夫ですよ。僕がいます」
もう1枚のタオルで、そっと小声で声を掛けながら、汗をかいている首周りを優しく拭く。
拭いている間もアーレは「大丈夫、大丈夫ですよ」と声を掛けていた。しばらくすると、クラシャスは落ち着いたようで、苦しい表情から安堵したような表情になり、ゆっくりとした呼吸で眠った。
〈良かった。落ち着いたみたい〉
スース―と寝息を立て始めたクラシャスを見て安心した。でも、また同じようになったら困ると思い、アーレはこのままクラシャスの傍にいることにした。
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