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第二章 5.ほんとのこと
「デューク様は、仙女の一族だったんですか!!」
「そうだよ。」
「ビクトリア様って温厚で根っこからの仙女って言われてましたよね。
なんで、デューク様を傷つけたりなんか。」
「気になるところそこなの。
嬉しいな~。
なんか、父上に無理やり手籠めにされちゃって、後宮だと一歩も外に出ることができなくて、自分がなくなったことになっていると気づいて、しかも、母上の次に父上が連れてきた女の人によって、病気になって、死んじゃうまで、父上は足を運ばなかったんだ。
だから、悲しみで・・・。」
話す口調は軽い感じだが、目には涙が浮かんでいた。
「でも・・母上は唯一そばにいてくれた人で、育ててくれたんだ。
ひどい扱いをうけたからで。大好きだった。でも、死んじゃって。
最後の言葉が、神殿の人にあったら、このこと伝えてって。
それは、薬のある場所と調合方法だった。
母上は自分たちよりも、神殿の方が大事なんだって・・・だから嫌いだった。」
言葉からお母さんが大好きで、お母さんの影響でお父さんが嫌いで。
死んでしまったことが、悲しそうであり、救えなかった悔しさで責任を感じているようだった。
「どこにもいかないでね・・・むりやりつれてきちゃったけど。
ほんとに好きなんだ。大好きなんだ。」
デューク様が幼い子供に見えてきた。
「いきませんよ。永遠に一緒にいます。
安心してください。つらいこときいてごめんなさい。」
肩に顔をうずくめながらも、ずっと泣いていた。
誰にも本音をはけなかったんだ。
哀れに思わないといけないのに、どこかに本音をはけるくらいまで心を許されてたことに嬉しさを感じていた。
そんな自分が嫌だった。
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