第三章 1.婚約指輪

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第三章 1.婚約指輪

無事国に帰り、二週間たったころ、例の指輪店から頼んだ品が届いた。 たぶん婚約指輪はあちらにいったのだろう。 秘密のネックレスは私のもとに届いた。 ちゃんと飾りの部分が合わせれば二つになるようになっている。 しかも柄がすごくて、ふんだんに宝石が使われている。 届いてからしばらくたつと、デューク様が私の部屋に入ってきた。 「届いたよ。婚約指輪が。」 「ほんとですか!」 すると急にデュークがひざまずいた。 「私はカリナ・シルスただ一人を愛すると誓う。」 この国にとって、女の人の前でひざまずくのは二回ある。 求婚と結婚の時だ。 改めて求婚されたのである。 「わたしも、デューク・デンス・フォンドただ一人を愛すると誓います。」 そうして、お互い指輪をはめあう。 キラキラひかる宝石は指を照らしていた。 嬉しくて泣いてしまった。 国外追放されるような運命だったはずなのに、こんな優しい人と出会うことができて、幸せになることが自由になることができた。 諦めていた自由を。この求婚を受けることはまぎれもなく私の意思なのだから。 「なんで泣いてるの?」 「嬉しくて。」 しばらくデュークは抱きしめてくれた。その時に触れるデュークの体は温かった。
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