#03. 結論

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 知らず、勝手に涙があふれていた。青春がいつか終わりを迎えるように、初恋もこのように苦い最期を必ずや迎えるのだ。それが自然の摂理。――生きなければ。  どんなに悲しく辛いことがあっても、笑い飛ばして生きてやるんだ絶対に。それは。失意の底にあったさなか、和貴がわたしを見つけ出してくれたから分かったこと。父親が違うということに失望し、自暴自棄になって衝動が沸き起こったそのとき、救ってくれたのは誰だったか。  だから、わたしは、彼を、選ぶ。――理由なんてない。どうしようもなく、好きだから。  涙を拭きながらホテルまで歩く。自分の部屋に入ったときに着信があった。 「もしもーし。真咲さーん?」  *
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