どうしようもなく蕎麦

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 蕎麦が、食べたい。  蕎麦が、食べたい。  お蕎麦を、いただきたい。  さっきからずっと、そんなことを考えている。  もう、蕎麦のことしか考えられなくなっている。  蕎麦の色、蕎麦の香り、噛んだときの歯ごたえと、噛まずに飲み込んだときの喉ごし、  蕎麦、ああ、蕎麦、  蕎麦よ、蕎麦が、蕎麦が、傍にあったなら、蕎麦を食べられるのに、  そば湯もいいよね。  そば湯。  そのまま飲んでもいいし、  ツユを薄めて飲んでもいい。  とにかく蕎麦が、食べたい。  この欲求はなんなのだろう。  食欲ではない。  だって、さっき牛焼肉弁当食べたもの。  牛焼肉弁当だよ。  ご飯の上に、牛焼肉がのっているんだよ。タマネギもゴマも載っていた。  おかずにカツ、コロッケ、竹輪の天ぷら、ポテトサラダにソーセージ、ブロッコリーに卵焼き、きんぴらごぼうまであった。  それを食べたあとに、柿の種とピーナッツまで食べて、少ししか経っていないのに、 「蕎麦が食べたい」っていっている。  お蕎麦が欲しいといっている。
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