本火葬

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本火葬

1年1組3番、伊東青依(いとうあおい)です! 部活は中学時代は登山部でしたが、今は可愛い先輩に勧誘されたので写真部に入ってます! 嫌いなものは本と教師。 どうぞよろしくお願いします♪ ------ 「…って、初対面で喧嘩売ってきたのはどこのどいつだ?」 「別に売ってないよ?本当にそう思ってるだけ」 「でぇ?その嫌いなはずの教師に面倒かけてんのはどういうことだ?授業中に居眠りなんかしやがって」 1月半ばの寒さ厳しい放課後。 居眠りの罰として補習を受けさせられていた青依は、物理教師である灘乃(なだの)に向かって急に涙目になる。 「灘乃先生、俺が可哀そうだと思わないの!?」 「あぁ?」 「急に『クリスマス暇?』とか言われたら舞い上がるでしょ!初詣に一緒に行こうとかさ!もう勘違いしちゃうのも無理ないでしょう!?」 「…なんの話だ?」 「昨日!先輩に振られちゃったんです!いい感じだと思ってたのに~」 「お前…よく俺に向かってそんな話ができるな。今補修中だぞ?」 空手部の顧問でもある強面の灘乃は、普段生徒達から恐れられて一線引かれることが多い。 授業の質問ならともかく、そんな赤裸々な話を包み隠さず話してくる生徒は非常に珍しく、彼の方が少し引いた。 「俺は人見先生の産休の代理で、3学期だけこのクラスも教えることになったんだぞ?お前の赤裸々な情報なんて知ったことかよ」 「冷たい!口悪いし!」 「お互い様だろ。敬語使え」 「補修と俺の一大事とどっちが重要なの!?」 「補修だよ。つーかうるせえなぁ。大方お前がなんかしたんだろ?相手の女も途中で『あ、なんか違った』って思ったんだろうよ」 総合理科の教科書を堂々と横へよけてから、机に突っ伏した青依はワンワン泣き始めた。 全く興味ありませんとばかりに灘乃が耳をかく。
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