序章 頭の中の声

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 あれは、いつ頃の事だったっけ。  いつの頃かさえもかも忘れちまうほど、随分と昔の話しさ。  何がきっかけなのかさえも忘れたんだが、それはいきなり始まったのさ。  本当にいきなり、俺の頭の中に、それまで一度も聞いた事さえ無い声が響いてきた。  最初は、はっきりとした言葉では無かった。声と言うよりか、何だか地鳴りのような感じにさえ思えた。  気のせいかとも思ったし、小さな音だったし、耳鳴りの一種かとも思うくらいだったし、余り気にしていなかったんだ最初はね。  だけど、日を追うに従って、その“音”はしっかりとした物に、しっかりとした“声”に変わってきたんだ。  ……本当に、徐々に、徐々にって感じだけどね。
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