三 道草妄想猫日記

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三 道草妄想猫日記

僕は今電車のホームを歩いている。実家の最寄りの駅だ。寂れたその駅は雑草が生い茂り、近くの公園には、当時本当に利用されていたSLが今は昔の思い出を噛み締めているような寂しさで佇んでいる。ここには幼少の頃から足を運んでいた。両親や祖父母に連れられいろんなところに行ったからである。そして帰り道にそのSLから猫がひょこっと現れてはこちらに寄ってきていた。その猫は茶の毛並みが美しく優しさを目に宿し警戒心のかけらも見せずこちらを良き人間と信頼してか寄ってくる。かわいい。  実家に帰り着き部屋に篭る。実家に帰っても1人の時間は欲しい。そんなときふと思い出す。あの猫はどこの子だろう。野良なのか。野良だったらなんだという訳ではないのだが無性に気になる。あの目に私は恋してしまったのである。全てを捧げても良いと思っている。そんな乙女のようなあの猫は、男性なのか女性なのか想っても良い人のか。そう考え込む。そんな片思いを考えてみる。
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