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彼女は言った。
「皆は私の前を歩いて欲しい。
諦めないで、スポットライトを浴びて欲しい。
後悔なんて残さないで欲しい。」
諦めかけた俺達を見て彼女は言った。
「皆のお爺ちゃんの姿、カッコいいんだろうな。
お嫁さん、可愛いんだろうな。
いいな、見てみたい。」
お酒の勢いでポロっと彼女はそう言った。
「私の手、暖かいでしょ。
皆を暖めるための手だからね。」
冬のある日に彼女は手を握って言った。
「よく、頑張りました。カッコ良かった!」
笑って言った。
「私、もっといい曲作るからね!」
ピースをして彼女は言った。
「私、もっと皆と生きたいって思ってるよ。
あ、誕生日、イチゴのタルトが食べたいな。」
白い病室のベッドで彼女は言った。
「ありがとう!」
車椅子に座って机の上のイチゴのタルトに刺さった蝋燭を消した。
「今日は寒いね…、あ、皆の手、暖かいね…。
次は桜が見たいな。」
厚着をした彼女が言った。
「綺麗…だね。」
窓から少し見える桜を見て彼女は言った。
「イチゴのタルト、食べたいな。」
彼女は死ぬ前にそう言った。
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