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もう一度息を
「もっと楽しむものは側にあるのに通りすぎて、
足りないって言って、埋めるように笑うんでしょ?
多分、この世界が狭すぎて見えないだけ。
もっと広い箱を持てばわかるはずなのに。」
巫女服を着ている月夜は静かに呟いた。
ライトに照らされている薄く浮かべた顔はどこかつかれた顔をしていた。
「あの時の私に伝えることはやっぱり。
それに勝る幸せが側にあるって言ってあげたい。
でも、今でも隠れてなく癖は抜けなかったって。
別の世界線があったら皆の前で涙を流せる私になりたい。」
煙を纏いながら悲しそうに私は静かに笑った。
「大切すぎる仲間が出来ちゃったんだよ。」
…私は背中を押された。
ステージの上から海に落ちて行った。
「小雨はバカかっ!
皆、心配してるみたいや、はよ、かえって。
ちゃんと来ない奴は歓迎しないで。」
「みゆ、ひどいわ。」
ひゅっと小さく息を繰り返した。
暗い道を迷った末にたどり着いたのは神社だった。
「小雨、また、迷子ですかー?」
月夜は笑って言った。
「迷子になったぁ。」
私は笑っていった。
「あぁ、階段を降りていけば着くよ。」
「ありがとう、月夜。」
「小雨。」
「うん。」
私は鳥居を潜った。
もう一度ひゅっと小さく息をして目を開けた。
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