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1.暴漢
レイラはアリスと一緒にキャンバスを出、鏡川の土手道を二人で歩いて帰っていた。二人が剣道の練習の終わった後で歩く土手は、既に日も暮れてかなり暗い。所々に街灯はあるものの、一緒に歩いているアリスの顔がやっとわかるくらいだった。
歩道が蛍橋の下をくぐる所に差し掛かった時、急にばらばらと数名の男が現れ、二人の行方を遮った。
「今日一番の獲物だぞ!逃がすなよ!」
と男の一人が言っている。最近出没する暴漢とはこいつらかとレイラは思った。
先月から時々、女子大生が襲われる事件が起きているので気を付けるように、と話には聞いていた。が、まさか自分達が襲われるとは思ってもみなかったレイラ達だった。
レイラは持っていた竹刀のケースから2本の竹刀を取り出し、
「アリス、いくよー!」
と言って1本を放って渡した。
「オッケー!」
と言ってアリスは受け取ると、すぐ近くにいた男の方に向き直り、同時に上段の構えをとった。アリスは上背があるため、迫力満点だ。
レイラは青眼の構えで目の前の男に正対した。男の右手には刃の反対側にギザギザのついたサバイバルナイフが握られているのが見えた。
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