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屋根を伝い、カーニバルが開催している区に辿り着いた少女は梯子や積み上がった荷物を足場に下へ下りていた。
「…?」
靴が冷えていく感覚に足下を見てみると丁度真下に水溜りがあった。
嫌な予感がして、左足を上げると若干靴が重い。急いで水溜りから脱出するもびっちょりと濡れた靴が気持ち悪い。
濡れた靴を脱いでみると何故か心が晴れやかになる。そうだ、いつもと違う事をしてみよう。もう片方に履いていた靴を脱いで水溜りに素足を浸ける。
ぱちゃぱちゃ
水に触れる感覚を不思議に思っていたが、その内だんだんと愉しくなり、周りを気にせずに遊んでいた。
ずっと昔から雨のせいでじめじめとしている街で、初めて愉しいって思ったかも…。
そんな事を思いながら、ぱちゃぱちゃと水溜りで遊ぶこと数分──
ぱしゃん
水溜りを踏んだ音が先程より大きなってしまい、思わず口元を手で覆う。
慌てて周りに悪魔が居ないかを確認する。再度何度も確認し、バレていない事にほっと胸を撫で下ろす。
ピチャン、パチャン
「…!」
聞いたことある音にビクッと体が反応する。
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