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見慣れぬ悪魔に追われる子供を一人眺める猫が居た。屋根の上から。
じっと逃げ惑う姿を見て、興味が削がれたのか子供から視線を外し、その後ろに迫る大型の悪魔に移す。
「あの悪魔、初めてみたな」
犬のような尖った口に鹿のような細い肉体。
見た目からは想像もできない速さと執念深さ。
「また新種の悪魔か」
首だけを後ろに動かし、ビーチャリー大通りの裏路地を見下ろす。
そこには犬型の悪魔以外に首の長いものや、頭は蛇なのに体は四本脚のものなど、見た目は人型なのに突然暴れ出す危険な奴も居る。
今までには居なかった個体ばかり。
考えられるとしたら突然変異の変異種個体か、はたまた何処かの実験の産物か。
「考えたところでどうでもいいか。…あ、あの子逃げ出せたんだ、ってことは」
その場に取り残された大型の悪魔を見る。
他の奴みたいに暴れるかと思っていたが、いつまで経っても暴れ出さない。それどころか一度も動かずにその場でじっと止まっている。
まるで待て、とでも言われた犬の様に。
「何か……異質な感じがするな」
気味の悪さを感じ、その場から逃げる様に立ち去る。
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