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「いやあ、実はここにくる途中で、変身アイテムをどっかで落としちゃったみたいなんだ」
まるで教科書を忘れてきたようなノリで、彼は言った。
「はあ? バカじゃないの」
「でも、安心しろ。正義の心はなくしていない。オレは戦える」
ファイティングポーズをとり、小林は身がまえた。
「生身で戦おうなんて、わたしもなめられたものね。悪のJK幹部だからって、油断してたらイタイめ見るわよ」
わたしは腰に携えた電撃ムチを手にし、あたりに雷撃をほとばしらせた。岩々が砕け、その破片が小林を襲う。
小林は寸でのところで避けた。生身だというのに、なかなかの身体能力だ。正義のヒーローなだけはある、と妙に感心する。
「あっぶねえな。ケガしたらどうする!」
セリフは嘆かわしかったが。
「そんなの労災申請したらいいじゃない」
「バカヤロー! ジャスティス人材派遣センターは零細企業なんだぞ。保険申請なんかしても却下されるのがオチだ」
「それって、ブラック企業じゃないの?」
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