雪代 深雪

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深く暗い闇に雪が降る いつからだろうか。 辺りの色が消え、心が冷たくなったのは… 何故こうなってしまったのか。 周囲にいた人の声が、姿が全て同じようになったのは… まるで豪雪で周りが見えなくなるように… いつになったら解放されるのだろうか。 僕には分からない。 分からない分からない分からない分からない分からない分からないわからないわからないわからないわからないわからないワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ…もう、ずっとコノままでもイイや…… 僕は、そこそこ裕福な家に生まれた男の子だった。 優しいお母さんと頼りになるお父さんと一緒に幸せに暮らしていて、すくすく成長していった。 あることが起きるまでは… 僕が2歳の時にお母さんが死んだ。 現代の技術じゃ治療できないような病気によって… 僕は泣いた。 沢山泣いた。 沢山悲しんだ。 お父さんは、僕の数倍泣いて悲しんで苦しんだ。 そして、狂った。 僕をお母さんの代わりにしようとした。 お母さんの名前の「深雪」に改名して、女物の服を着るようにされて、お母さんと同じような立ち振る舞いを強制された。 少しでも違うと、反抗すると、暴力を振るようになった。 まだ幼く、精神が不安定だからこれが正しいと当たり前だと思った。 そして、これを境に僕も気がつかない内に心が曇り始め、壊れ始めた。 誰も狂ったお父さんを止めなかった。 僕は幼稚園から中学校までずっといじめられた。 誰も助けてくれなかった。 色が次第に消えていった。 無色になっていった。 声も消えていった。 お父さんの重圧が雪のように僕にのしかかっていた。 逃げれない。 助けを呼ぶことも分からない。 ただストレス発散でサンドバックにされたりした。 下心を持ってる人もどうでもいいと思っていたがお父さんの命令で逃げた。 高校の時、1つだけ変わったことが出来た。 下心のない人が私に話しかけてきた。 私は、この時の場合どうすればいいのか分からない。 この場合の時のお父さんの命令もない。 分からないから無視をした。 だけど、話しかけてきた。 彼女が話しかけてきて、私はそれを無視をする。 そういった出来事が1年以上も続いた。 何で下心もないのに話しかけようと、ずっといじめられて誰にも助けてもらえないほど価値のない私に関わろうとしてるのかが分からない。 私は、流石に無視を出来なくなったのと理由が気になるから少しだけほんの少しだけ関わることにした。 そうして彼女と少しだけ関わるようにしてから、彼女だけ色がついたような気がした。 まだハッキリとした色ではないけど淡くて暖かそうな色が。 久しぶりに色を見たからか、私は色が沢山あったあの頃に戻りたいと思ってしまった。 そう。動きのなかった心の動きが、冷たかった心が暖かくなってきたように感じてきた。 だけど、お父さんに反抗する勇気とかはなかった。 結局はこの現状維持でいいやと諦めた。 彼女はそんな私の微細な心の動きが分かったのかいきなり抱き締めてきた。 まるで、雪に押しつぶされて倒れている私に救いの手を差し伸べているかのように… 私は、15年従ってきたお父さんに反抗することを決心した。 そこからの動きは早かった。 結果から、お父さんとは法的に離縁をした。 名前は苗字は変えて、名前は深雪のままにした。 お母さんは何にも悪くないから。 むしろお母さんは僕にとっての誇りだからそんなお母さんの名前でいられるのは嬉しかったから。 僕の心はまだ冷たいが彼女と接する時は暖かくなるから大丈夫。 色も彼女はちゃんとハッキリしてるし、彼女以外はまだ淡い色だけど少しずつ治ればいいやと思っている。 むしろ、日々周りの色が綺麗になって嬉しいと感じている。 こんな僕に手を差し伸べて助けてくれた彼女のことを今度は僕が助けたいと思っている。 だから、もし大変な目に遭っていたら絶対に僕が助けたいと思っている。 これはエゴだけど… …僕の心はまだ壊れている。 まだあの雪の降っている暗い闇に囚われている。 僕はキミに依存している。 キミがいるから生きている。 ねぇ、いつになったら解放されるのかな? 僕にはワカラナイ…
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