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「あっ……な、に……?」  驚いている間に下半身を覆うものが無くなり、慌てて視線を向けた自分の惨状に目を瞠った。 「べとべとだな」 「う……、だって……」  奪った衣服を投げ捨てた竜次郎にもからかわれて、頬が熱くなる。  咥えていただけでこんなにしてしまって、呆れられただろうかという不安が育ちかけたが、それが形になるより先に、足を掴まれて恥ずかしいことになっている場所を更にさらすように割り広げられた。 「りゅ、竜次郎、……あっ」  先走りでぬめるそこに、息がかかったかと思うと舌が伸びる。  反射的に逃げようと身じろいだが、がっちりロックされていて力なく腰が揺れただけだ。 「だめ、こんな、…っあ、や、いや」  硬くなった場所を戯れのようにかすめた舌は、奥の方へと伝い下りて、ひくひくと物欲しげに収縮する場所へと辿り着いた。  尖らせた舌で抉られて、息を呑んだ。  当初の『機嫌を取る』という目的からだいぶ外れてきてしまっている気がして、止めなくてはと思うのだが、与えられる刺激に思考が霧散してしまう。  指を差し入れられ、拡げられたふちを舌でなぞられると、未知の感覚にぞくぞくと体が震えた。 「竜次郎、も、や、……っ」  半泣きで赦しを乞うと、竜次郎は一旦そこから口を離す。  解放されるのかと思ってほっとしたのも束の間、今度は前の方をぱくりと咥えられて、不意打ちに「あっ」と高い声が漏れた。 「や、りゅ、あっ、あ、っあ、」  じゅるっと大きな音を立てて吸引され、声が抑えられない。 「あっ、も、だ、め、あっ、あっ!」  される前から既に昂っていた湊は、熱い粘膜で少し扱かれただけでも限界を迎えてしまった。  口の中に出すのは、と耐えようとしたが、我慢できず弾ける。  達しても尚、残滓を吸い出すようにしつこく吸われて、泣き声をあげて身を捩った。 「や…あ、も、吸わな、…っ」  ようやく離してもらえて、ぐったりと身を投げ出す。 「りゅ、竜次郎、ずるい……。俺には最後までさせてくれなかったのに……」  快楽の余韻に震える声で抗議をしたが、口を拭う竜次郎は「よかったんならいいだろ」とどこ吹く風だ。 「竜次郎の……エッチ……」 「そりゃ野郎にとっちゃどっちかっつーと称賛じゃねーか?」  しれっと返されて、なんだか面白くない。  怒るなよと頭を撫でるやけに上機嫌な竜次郎に何かもう一言くらい不満を口にしたかったが、釈然としない気持ちを相手にぶつけることなどあまりないので、上手い言葉が出てこない。  『エッチ』が称賛なら『すけべ』や『いじわる』も同義だろう。  意外に難しいなと考え込んでいると、近くに焦っている気配を感じた。 「おい、湊、もしかしてマジで怒ってんのか?」  何か言うより沈黙の方が堪えるのだろうか。  特に怒っているわけではないが、なんとなく黙ったまま興味深く推移を見守ってしまう。 「いや、別にお前を泣かそうと思ったわけじゃなくてだな。お前がエロすぎるのが……あー、いや、とにかく早まるな」  こんなに焦っている竜次郎を見るのは初めてだ。  喧嘩になって距離を置くようなことにでもなれば、明らかに湊の方が寂しさに耐えられなくて分が悪いというのに。  いや、だからこそこんな風にフォローをしてくれるのかもしれない。  竜次郎は、優しい。 「……ふふっ」  嬉しくなってつい笑ってしまうと、湊が怒っていないことにようやく気付いたようだ。 「お前、何笑ってんだ。さては騙しやがったな?」 「俺、最初から怒ってないよ」 「じゃあ黙んなよ……。お前の怒ったところなんか見たことなかったから、いよいよやらかしちまったかと思って寿命が縮んだだろ」 「こっちも元気なくなっちゃったもんね」  手を伸ばすとやはり止められた。 「そっちはすぐ復活するから別にいいんだよ」 「……リベンジしたい」 「今度な」
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