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 再び膝裏を持ち上げられて、ソファに沈む。  ここで最後までする気なのだと悟って慌てた。 「えっ、だめだよ、俺、声…が、っ」  言い終わらないうちに先端を押し当てられて息を呑む。 「あっ……りゅうじろ、ほんとにすぐ復活……っあっ!」 「言った、通りだろ」  竜次郎は何故か得意げに笑って、腰を沈めてきた。  ずぶずぶと狭い場所を押し拡げられるのは、苦しさもあるが、喜びと悦びが圧倒的にそれを上回っている。 「っう……、」  全てを呑み込まされ、息を乱したまま涙の滲んだ瞳でただ竜次郎を見上げた。  腹の中に脈打つ鼓動を感じると、ほんの少し前に竜次郎の口の中に放ったばかりなのに、それだけでまた達してしまいそうだ。  かすんだ頭のぼやけた視界に映る竜次郎の表情は逆光でよく見えないが、貫く熱が相手の興奮をしっかり伝えてくる。  湊が苦痛を感じていないことは一目瞭然なのだろう。落ち着くのを待たずにずるりと腰を引かれて、あっと声が漏れた。 「や……っ、待っ…、ゆ、っくり、あっ」  皮張りのソファがギシッと軋んで、動くたびにぎゅっと音がするのが恥ずかしい。  そもそもがあまり壁の厚い作りの建物ではない。色々と聞こえてしまっているに違いないのに、溺れてしまう。  感じる場所を擦られると、気持ちいい、と素直な言葉がふきこぼれた。 「竜、じろう…っ、あっ、気持ちいい、けど、だめ、やぁ…っ」 「俺の機嫌を取るんだろ?」 「そ、……だけど、…竜次郎、あっ、これで、機嫌…っん、よく、なるの…?」  会話をしようとしても、揺すられながらでは言葉が途切れる。  それが面白いのか、わざとのようなタイミングで抜き差しされて、意地悪…と唇を尖らせた。 「お前がいるだけで、俺はいつだってご機嫌だぜ」  怒るなよ、と宥めすかすように優しく深い場所を擦られて、溜まっていた涙がこぼれた。  竜次郎でいっぱいになっていた口の中が寂しい気がして、キスが欲しくて手を伸ばせば、応えて唇が降ってくる。  上も下も深く繋がったまま抱きしめられて、下腹部にワイシャツが当たる感触で微かに残る理性が厚い胸を押し返させた。 「汚し、ちゃ…」 「着替えりゃいいだけだ」 「でも、んぅ」  言葉を封じるように再び唇を塞がれて、そういう問題ではないのでは、と思いながらも改めて縋り付いた。  TPOはともかく、求められると嬉しくて、愛しい気持ちが沸き上がる。  竜次郎がいないと、生きていけない。  ふっと浮かんできた強い想いに、しかし熱くなる身体とは裏腹にひやりとするものがあった。  もしかしたら自分は、成長したつもりで何も変わっていないのではないか?  突然足場がなくなってしまったかのように、愛情と依存の境目が分からなくなる。  幼い頃から湊を蝕む『一方的な愛情の末路』が、唐突に心を呪縛した。 「りゅう、じろう……っ」  唇を離して思わず呼んだ声は、不安な気持ちが滲んでしまっていて。 「っ……どうした、」  聡い竜次郎は、湊の気持ちがぶれたことに気が付いただろう。  だが答えられず、ぎゅっとワイシャツ越しの背中を抱きしめた。 「……っ、っと……」 「湊?」 「もっと、……して」  竜次郎は、何かを問おうとしたが、要望をかなえることを優先したらしく、ぐっと湊の感じる場所を抉った。 「あっ……!っあ、あっ……!」  湊もまた、逃避と知りながら意識して目先の快楽に溺れた。
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