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ひとり部屋に着き、ベッドに横になる。 琢磨さん…彼の何を思い出しても愛しさが込み上げてくる。 好き…それしかなかった。 もう…誰かを琢磨さん以上に好きになるなんてないだろうな。 ピンポーン ピンポーン 「ん…寝てた…2時か…こんな昼間に…うるさいな…」 ピンポーン ピンポーン 「んもぅ…しつこい…」 渋々起き上がり、インターフォンに出る。 「はい」 『蒼太くん…俺…話がある』 ドクン 「琢磨さん…どうぞ…」 覚悟は決めた、ちゃんと話そう。 ピンポーン 「はい、どうぞ…」 『お邪魔します…』 「コーヒーでいいですか?」 『……』 そうか…座る気もないんだ。 「お話…聞きます…」 『…俺…』 「はい…」 『プライベート携帯忘れて出張に行った…』 「はい」 『君の連絡先も分からず…君の名刺は持ってたけど…会社に電話なんてできないし?』 「はい」 『君には心配かけるかもって思ったけど?』 「はい」 『なんで…秋田ってやつに唆されて、肩抱かれてんの?なんで一緒にタクシーに乗ろうとしてんの?』 「はい?ってか琢磨さん怒ってます?」 『怒るに決まってる!ドS秋田に大体のことは聞いた…俺の事信じて待てなかった?』 「…あの…黙って聞いてましたけど、大体琢磨さんが携帯忘れるのが悪いですよね?」 『う…』 「せっかく幸せな気分で送り出したのに、連絡ない上に、琢磨さんが結婚するなんて聞かされて…limeしたら既読無視されて…僕がどれだけ辛かったかわかってませんよね?」 『既読無視?クソ…姉貴か…』 「お姉さん?」 『ああ…たまに彼氏と喧嘩したって転がり込んでくんだよ』 「琢磨さんのバカ!もう大嫌いです」 『蒼太くん…ごめん…本当ごめん』 「嫌だ!許さない!結婚するんでしょ?僕は愛人になんかならないから!」 『蒼太くん…まず、結婚はしない。確かにそうゆう話はあったけど…俺はゲイで、大事な人がいるって話した。愛人って何?』 「秋田さんが、ゲイでも地位の為に女性と結婚して愛人作るやついっぱいいるって…」 『はぁ…蒼太くんは俺より、ドS秋田を信じるの?』 「だって…辛くて…苦しくて、秋田さん優しいし…」 『わかった…俺が悪かった…蒼太くん…おいで?』
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