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琢磨さんがギュッと唇を噛む。
『蒼太くん、いきなりで何なんだけど本題に入っていい?』
本題あったんだ…急に食事に誘った理由かな。
俺は黙って頷く…琢磨さんの顔が真剣だったから。
『俺の話聞いて、嫌だったらそう言って。もうこの話はしないから…俺…ゲイなんだ』
そう言って琢磨さんは目を伏せた。
「?…はい…だから?どうしたんです?」
琢磨さんはパッと顔を上げ、俺を見つめた。
『どう…って…何ともないの?』
「だから、何がです?琢磨さんがゲイだからなんですか。別に気にしませんよ?だって…」
俺も…とは言えなかった。言ったら何か始まっちゃいそうで…
『ははっ、そうか…良かった。俺たち友達になれそうかな?』
「ふふ…もう脅さないって約束してくれたらいいですよ?」
『わかったよ、時々こうやって会ってくれる?』
「もちろんです」
悪い人じゃない、多分今まで、マイノリティで辛い思いをしてきたんだろんな。
だから友人を作るのにも恐る恐るで、後でバレるよりも先に話してしまう。
そしてそれでダメならダメ、ある意味男らしい。
『蒼太くん、恋人は?』
「今はいません、三谷サン…琢磨さんは?」
『俺もいないよ。一昨年…大失恋したんだ、それでちょっと疲れてね。蒼太猫に癒やして欲しいな』
「琢磨さんみたいな人でも失恋するんだ…」
『ふふ…俺みたいなイケメンがって?それだけじゃない、仕事はできるし優しいしな。セックスも上手いぞ?女性にとっちゃ最高だろうよ』
自分で言うなよ…
「ソウデスネ…」
『でもな…上手くいかないんだ。男にもモテるんだよ?好きだって言われて付き合って…なのに、重いって…酷くないか?』
「琢磨さん…酔ってます?」
『酔ってないから、クサイ慰めセリフ言ってくれ』
「うーん、こんなにイケメンで最高の彼氏に、重いほど愛されるって羨ましいデスケドね…琢磨さん…見る目ないんじゃ?」
『そうかもな…でも今回のは…初めて自分から好きになったんだ…どうしても手に入れたい』
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