26人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕に恋愛相談してます?まぁ、僕も好きだって言われてばっかりで…自分からってのはまだ…わかりません…あー…酔いが回って来ましたね…」
『蒼太くんはモテそうだな…』
「ふふん、モテますよ?けど…」
『けど?』
琢磨さんが前のめりになる…
「……」
『言っちゃえよ、どうせ聞いても忘れる』
「そうですね…僕…まだ…未経験なんです」
『ブホっ、ゴホゴホ…』
「ははっ、大丈夫?」
『未経験って…セックス?キスは?』
「バカにしないでください。キスはたくさんしましたよ?僕…キス魔で…好きなんです」
『ほほう、で…キスまでしといてその先に進まなかったのはなぜ?』
「見られたくないんです…身体…」
『?なぜ?そそる身体してると思うけど?』
「秘密です、自分と親以外知らないんで…」
『そうか…そんな事もあるよな。いつか俺には教えてくれよな?』
「そうですね…琢磨さんなら笑わないかな…」
琢磨さんは優しく…笑った…
『よし、今夜はお開きだ。これ以上飲むと蒼太くんに絡んじゃうから』
「いいっすよぉ、絡んでいただいて…」
『蒼太くん…俺言ったよね?ゲイだって…襲っちゃうかもよ?』
ドクン
琢磨さんが一瞬見せた色っぽい顔を見逃すわけない。
『っなーんてな。冗談だよ、また飲もうな』
「はい…もちろんです」
僕たちは…店の前でじゃあなと手を振って別れた。
その夜はお酒の効果もあり、シャワーを浴びてそのままベッドヘ倒れ込んだ。
微睡の中で彼を思い出す。
連絡先の交換もなかったし…なぜ僕を食事に誘ったのかも聞けなかった。
ああ…友人が欲しかったのか、自分がゲイでも引かない友人。
僕は、そうなれるだろうか?自分もゲイだって言えなかった。
いいか…毎朝、電車で会えるから。
琢磨さん…おやすみ…なさい。
『蒼太くん!おはよう』
「琢磨さん…おはようございます。昨日はご馳走様でした。次は僕が」
『うん、楽しみにしてる。大丈夫?二日酔いしてない?』
「平気です、琢磨さんは?」
『俺も大丈夫だよ、会話も全部覚えてるし?未経験者なんだよね?』
「うぅ…聞いても忘れるって言いませんでした?」
『ははっ、アレで酔いが完全に覚めたからな』
最初のコメントを投稿しよう!