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好きだ…でも…
「あ…琢磨さん…僕…すみません。琢磨さん、好きな人いるんですよね?」
『はは…うん、いる。今、俺の腕の中』
「え…僕?」
『うん、君を見つけた1年前からずっと…君に恋をしていた。転勤から戻ってきて初出勤の朝、見つけたんだ。でも声をかける事も出来ず、同じビルで働いてるって知って。喫煙所まで追いかけて、バカみたいだろ?でももっと近づきたくて、友人でいいからって声かけたんだ。君ももしかしたらマイノリティで、バイでもいいからって期待してカムアウトしたけど、やっぱり違ったかって落ち込んで。それでも諦められず友人として仲良くなろうって決めたところだった。そしたら君もゲイって聞いて、我慢できなくなった。嫌だったら…帰っていいよ』
拗ねてる…カワイイ…
「琢磨さん…顔見せて?」
僕の頭の上で、イヤイヤと横に振っている。
「顔見たい」
琢磨さんはピクリと肩を動かし、そっと僕から離れた。
「琢磨さん…僕を見て下さい。なんか…振り回してごめんなさい」
『いや…いいんだ。こうやって食事に行ったり出来ただけで。迷惑だったよな、ごめん』
顔を逸らそうとする琢磨さんに、琢磨さん…と僕は呼びかけ、彼の唇を奪った。
目を見開いた彼に僕はそっと伝えた。
「琢磨さん、好きです」
『……もう一回』
「ふふ…琢磨さん、僕はあなたが好きです」
『う…本当に?』
「はい、だからキスして下さい」
ちゅ…ちゅ…
『蒼太くん…好きだよ』
「はい、僕もです。メシ食いましょ?」
『ああ…そうだったね』
「もっと、琢磨さんの事知りたい。いっぱい話しましょう?」
それから僕たちは、自分の事を話した。
ずっと距離が縮まった。
『そういえば蒼太くん…君の会社の総務の秋田だっけ?長身のイケメン?チョコレートくれるって?』
「ああ…そうなんです。秋田さんは会社でもゲイだとカムアウトされてる方です」
『そうじゃなくて、蒼太くんを狙ってるって話!』
「ああ…んー、言いましたよね?僕モテるんです」
『ムカつく…蒼太くんは俺のって怒鳴り込みたい…』
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